結婚の歴史〜室町時代編part2〜

前回の結婚の歴史で室町時代の庶民の生活を知るには史料がないため狂言が貴重な研究史料だと書きました。 狂言を見てみると、婚姻生活よりも「聟入り」の儀式の方に焦点が当てられることが多いことが分かります。 室町時代にもなると、一見庶民レベルでは嫁入り婚が一般的になったと思いがちだと思います。しかし、先程述べたように狂言を歴史的史料として見る限りそうではないようで、婚姻関係がスタートし、夫方(夫の実家/夫の実家の所有する家)に妻入り、同居が始まって、その後、吉日を選んで、妻の実家で聟入りする儀式が行われるという順番だったようなのです。 嫁取婚が主流となった室町時代においても庶民層においては儀式としての聟入は継続していたようです。実際、この時期には嫁入り行列もかなり派手に行われていました。狂言の題材に聟入が多いのは狂言の作り手や演じ手が男であることから聟入が題材になることが多かったと言われています。 歴史学の立場からこの狂言の聟入について考えると、婚姻の事実が確定してから、あらためて儀礼を行い、世間に公表する、つまり、今も昔も婚姻の事実自体を作ることが大事で第一優先事項だったのです。そう考えると、嫁入りがスタンダードになった時代でも聟入の儀式だけは行われており、室町時代の人々はその儀式自体に価値を見出していたということにも納得がいきますね😊

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